シーナ&鮎川誠
2002.8.2(FRI)/琴似コンカリーニョ 【Sheena&Ayukawa Live in Concarino】
なんと、家から徒歩3分。
間にある家をとっぱらって直線距離にしてみたら、東京ドームのステージと客席で片付くだろうぐらいのところにやって来るのだ!
シーナと鮎川さんが。
しかも、めちゃめちゃ狭い倉庫のステージに。
倉庫を改装して設けたスペース。有志によって運営され、普段は劇団の公演などが行なわれているこの「コンカリーニョ」が8月で無くなってしまうという。
そのラストイベントに参加という形。
今回は2人だけなのでアコースティックだという話も聞いていたが、ステージにはマイクスタンドが2本とイスが一つ、その隣に置かれたテーブルの上にはパソコン、そしてステージ奥にはエレキギターが置かれていた。
「最近は打ち込みで録音したりもしてるらしい」という話を聞き納得。
人はものすごくまばら。コンカリーニョのスタッフが一番多いのではないかというような状況。
最前列に立っている人も手持ち無沙汰で後ずさりしてしまう程の所在なさげ感。
大きなイベンターを通しているわけでもなく、宣伝も自力だったようなのでそのせいかとは思うが勿体無い。しかし贅沢。
程なくしてBGMが止み、照明が落ち、ステージ右奥のドアから2人が登場。
いや〜、姿見ただけで鳥肌立った。
ピンクラメのミニのジャンパースカートに黒い網タイツ、右手には赤、左手には黒のリストバンド、赤いミュール、腰までの長い髪のシーナ。
黒いバットマンキャップにドクロ柄のマフラー、シーナ&ロケッツ白Tシャツの鮎川さん。
「バットマンのテーマ」。
リハーサルをしていないのか、始まるやいなや、鮎川さんがモニターの音を上げてくれとサインを出す。
それがなかなか伝わらず、何度も同じサインを繰り返し、遂にはマイクで「ギターの音をもう少し上げて下さい。」「声をもう少し上げて下さい。」
やっと1曲が終わった後「上げてと頼んだけど大きかったよ。もう少し下げて下さい(笑)。」
今回は、終始こんな感じで和気あいあい。
パソコンでリズムを探しながらの進行。
途中、演奏が終わると同時にリズム止めたいのになかなか止まらず、思わず「すみません、そっちで止めてください。」
パソコンとの格闘が続く。
その様子を見守る、とても微笑ましい様子のシーナ。ああ、なんて素敵なんだろう。
「この間、下北沢でジョニー・サンダースの追悼ライブをやってきました」で「CHINESE ROCK」。
「昔から知り合いのラモーンズの、ディーディーと一緒に8月にライブをするって話をしてたのに、ディーディーまで亡くなるなんて。ジョーイがカバーしてた曲」で「WHAT'S
A WONDERFUL WORLD」。
この2曲、昨日はROCKAHOLIC(THE MODS)で聞き、今日はシーナ&鮎川さんだなんて、なんて贅沢な2days!!
たぶん、今日のところは私が一番の幸せもんだな。
「TELL ME」「SATISFACTION」
轟音で鳴らすギター1本で演奏される曲たち。
「24年間、こうやってずっと旅をしてきてまたみんなに会えた。ありがとう。」というシーナの言葉。
「レイジー・クレイジー・ブルース」「ピンナップ・ベイビー・ブルース」。最前列にいる男子に手を伸ばし「さらってゆきたい」と歌う。
ギター1本とリズムボックスだけで充分悩殺的な「レモンティー」。
アンコールに応えて「YOU MAY DREAM」。
信じられない。
ステージ前に皆が殺到して、鮎川さんにシーナに握手を求めている。
二人ともそれに笑顔で応えている。
とても恐れ多くて、笑顔で握手しているシーナと鮎川さんを遠目で(でも近いのだ)眺めていた。
どこから見ても大物と呼ばれる人達である。たくさんの伝説を生み、たくさんの人に憧れられている人なのだ。
その人達がこのような小さな有志イベントに来てくれること、小さな小さなステージ、こんなに少ない人の前でありったけの気持ちを吐露してくれること、放つだけじゃなく受け入れてくれていること。
目の前に繰り広げられている事実。この光景や充満した空気、何もかもがシーナと鮎川さんのすべてを表していた。
放たれる音楽の素晴らしさだけではなく、熱い気持ちの前には壁が無いこと、情熱とは何と素晴らしく何よりも大きなものかということ。
だからこの人達はこんなにも輝いて存在している。大勢の人々に愛されている。
自分の信念や価値観に裏付けをもらったようなこの日のイベント。
コンカリーニョはもう無くなってしまうが、コンカリーニョありきで行なわれたこの日のことは、共に忘れることはないだろう。