Rising Sun Rock Festival in EZO

1999.8.21(SAT)〜8.22(SUN) 石狩湾樽川埠頭野外ステージ

ついに来た、って感じ。ずっと前から待ちに待ってた。でも、なんかずーーーっと先のことでもしかしたらこの日は来ないんじゃないかって錯覚してたくらいの壮大な「フェスティヴォー」。しかし、ホントに来た。だって、既に私はすっかりゲートの前に座って持ち込んじゃいけないと言われている缶ビールを、タオルに包んで3缶目を開けている。
昨日までは準備に走りまわった。敷物、食べ物、着るもの、飲み物、飲み物、飲み物・・・(笑)。テントも張ろうと思ってたが、自分達で張るのはやめて友達に貸すことにした。下見にも行った。夕陽の下でスタッフが働いてた。あの中にロッキンオンの山崎さんもいたに違いない。そんな、ホントに本当にたくさんの人達が関わったフェスティヴォーが今日始まる。

開場は11:00。10:00前には駐車場に入った。入り口がどこで自分がどこにいるのかわかんない空き地の車の山の中に着いた。まずは並ぶためのイスや飲み物や飲み物や飲み物(しつこい・笑)を運ぶ。まだそんなにごったがえす程の人数じゃない。私達はゲートの目の前にイスを置き、早速飲んだ。太陽光線が、まさにジリジリと音をたてて皮膚を焼いていく。今年の北海道は異常に暑かった。これも、そんなひと夏の語りグサのひとつになるんだろう。飲んだビールが次から次へと汗となって蒸発していく。振りかえって見ればバスターミナルからの長蛇の列。さ、いよいよ開場だ。

下見で見た時よりだだっ広い。ステージに向かってやや右側に広めの場所を取る。ビールを飲んでるうちに、1つ目の電グルが出てきた。テント組の友達と、ペットボトルに入れてきたワイン飲んでるうちに2つ目のNUMBER GIRLが出てきた。「MODSだったらいいね」とか「マカロニか?」とか言ってたシークレット・ゲストはMAD CAPSULE MARKETSだった。小腹がすいてラーメン食べに行ったらもう1杯サービスしてくれて、その時はHIGH-LOWSだった。ハイロウズで砂まみれになり、すっかり変色した友達に間違って赤ワインこぼした時はDragon Ashだった。そんな調子でゆったり過ごしてるうちに夕方の休憩時間。この後はUA・椎名林檎・ミッシェル・ブランキーが続く。

休憩もなんとなく過ごした後、ミッシェルに備えて、UAの時点でスタンディングゾーンへ移動。UAのチョー豪華なバック陣に見とれ(花田裕之・池畑潤二・スティーブ衛藤など)、フィッシュマンズ佐藤君に捧げる唄に泣き、林檎ちゃんのある意味凄まじいステージと巻き舌に舌を巻き、いよいよミッシェル。
すぐそこにある柵をどうしても越えられずの視界極悪の中、ヤツ等は現われた。チバ、今日は黒のスーツ。やっぱし黒でしょーーー!「G.W.D」でスタート。見づらいので若干後ろへ下がると視界が開けた。足元悪いとか、隣の奴がいろんなモノ拾い投げしててウザイとか、そんなこと言ってる暇がもったいない。「石狩は日本のサンフランシスコだぜーーーー。」「CISCO!!!」両手を挙げた次の瞬間、アベが奏でたのは「世界の終わり」。やった!!でも、喜ぶのも一瞬。喜んでる暇さえもったいなかった。「赤みのかかった月が昇る時・・・」左右に設置された大きなモニターに大写しになったチバの顔の隣に、綺麗な月が並んだ。真っ黒い空に包まれた空間の中、月と共に存在したthee michelle gun elephantはまさに最強だった。

自分の場所でブランキーを待つ。pre-schoolが遠くの方で光ってた。ベンジーの「Are you ready?」でブランキースタート。イベントでしか見てなかったけど(今回もイベントなんだけど)、今回は違って見えた。「胸がこわれそう」のリズムがとっても気持ち良かった。前に行きたいんだけど、行けなくて仕方なく通路に溢れた人達が飛び跳ねてる。気持ちいい〜〜。

夜中の休みでは、一人寝ている友達を置いて食糧をあさりに徘徊する。なんと、友達が地獄絵図状態のトイレに携帯を落とす・・・。久しぶりにここまでアンビリーバボーな事態。その背後ではギターウルフが「ロッケンローーー!!」と叫んでいた。うどんを食べながら今後の対策を検討する。うなだれながら自陣に戻り、心ここにあらずの状態でSUPERCARが始まり、終わった。そしてブッチャーズが登場。まだ彼らが札幌で活動してた頃はきちんと見に行ったことはなかったけど、現われた時にはちょっと感動した。「この曲をやるために北海道に帰って来ました」と前置きされて始まった「7月」には本当に感動した。始まった頃には真っ黒だった空が、東の方からオレンジがかってきていた。今回の出演者の中で、雄大な自然がもたらした一番素晴らしいセットを従えることになったと思う。

わざとらしいくらいにピュアな太陽が顔を出した。その光を背負った人々は、どんな格好で寝ていようがどんな寝グセがついていようがとってもとっても劇的だった。映画のワンシーンだった。
これを待っていた。このシーンのために、今までがあった。

そしていよいよ大トリ、サニーデイ。なんと、16時間にも及ぶこのフェスティヴォーに、出演者でしかもトリの彼らが最初からいたという。スゴイ。綺麗に晴れ、心地よく肌寒い空気にさわやかな曲。これでいいのだ。途中から眠りこけ、気づいたらすべて終わっていたという人も、それもそれでいいのだ。全部全部を包み込み、つじつまを合わせてくれたラストだった。

こんな環境でのこんな長時間のフェスティヴォーが、殺伐ともならず逆に穏やかに過ぎて行ったのは、北海道という土地に住むのんびりした神々が石狩に集まったからだ(断言)。この後、普段の生活に戻った人達は興奮したりしみじみしたり、覚えてない部分を指摘されたりしながら、また来年の快感を待つのだ。