怒髪天 
MOGA THE \5 / NAHT

2002.3.10(SUN)/大阪Fundango 【FOR UGLY ,FOR BEAUTIFUL #6】

昨日は名古屋だった。今日は大阪だ。
私はどうしてこんなに怒髪天のライブに足を運ぶのだろう。
怒髪天が大好きだ、ライブが好きだ、踊りまくりたい・・・などなどは当然なのだが、増子さんの伝えてくれていることをまるまるわかりたい、
最近はその意識がとても強い。
今日はわかることができるのだろうか、そんなことをライブ前にはついつい考えてしまう。

・・・・とか何とか言ってるけれど、直前には結局、怒髪天に逢いたい、楽しみた〜〜〜〜い!!!あ〜〜ドキドキするぅ〜〜!!
という一心になってしまう。
ライブが好きだ!後のことはまた後で考えればいい。それでいいのだ。
このレポにまたまた登場、極東好きのU君と最寄駅で待ち合わせて、昨日の興奮を一方的に語りつつFandangoへ向かう。
なんと、開場18:00よりも早くに到着。

入場。私は昨日グッズをしこたま仕入れたので落ち着いてテーブルに。U君は早速物販へ走り、Tシャツ、リストバンド、コインケース、ステッカー5枚(!しかし、これはMOGAの収入。)を購入。
「もう、これで怒髪天Tシャツ4枚目ですよ!」と興奮気味に語るU君がとっても嬉しい。ライブは2度目なのに。
今日はトリと思われる為まだゆっくりテーブルでビールを飲んでるが、前の方のものすごい混み様を見て不安がつきまとう。
MOGA、NAHTと進むにつれ前方のもみくちゃ度は高くなって行く。

メンバーが登場する花道の幅さえ無くなっているステージ前。ファンダンゴは、怒髪天が来る度狭くなる。
そして始まる「酒燃料爆進曲」。
始まった途端に、何か音がおかしいと気付き、何がおかしいの?ギター?ベース?反響?
とちょっと眉をしかめたその瞬間、増子さんと顔が合った。
増子さんの場合、「目が合う」じゃなくて顔がガチンコなのだから「顔が合う」という。
その瞬間、音のことはもうオーライ。いいのだ、それで。
今日も首にはシド・チェーン。
「これ買ってから倍の年になったからね。」昨日は「パンク聴き始めてから20年!その記念につけてきたからね。」
あれ?上原子さんの首にはいつも増子さんがつけてるネックレス?!真相は定かじゃないが。

「夕暮れ男道」。
「酒燃料爆進曲」からの流れがとってもいい。盛り上がる。さらにさらにボルテージ(死語?)が上がる。
イントロがメチャメチャイカしててめちゃめちゃパンクな「明日をブン殴れ」。
普段なら曲が進むにつれ視界が開けていくのに、どんどん視界が悪くなる。増子さんが遠くなる。

上原子さんのポツポツとしたMCで、スペースシャワーコンピCDの発売が告げられる。
ところが、その曲ではない、別の新曲。
昨日聴いた「ナラクデサカバ」ともその次の曲とも違う、激しい曲だ。

久しぶりに聴く「時代遅れTARO」。
増子さんに群がる熱血純情派達。
増子さんは、こんなスカスカした世の中で、生きづらいけど風穴開けてやる面白いじゃないか!って拳握って盛り上がってる人達みんなを救うジャンヌ・ダルクか。
または得体の知れないデカイものに、情熱ひとつで立ち向かうドン・キホーテか。

待ち焦がれてた「杉並浮浪雲」。
こんな見づらい、しかも落ち着かない状況で迎えたくなかった、この曲。
もっともっと、増子さんにすがるような状況で見たい。
頭と頭の間から見え隠れする増子さんは私のラインよりも後ろの人々に向かい、手を広げて唄う。
「いずれ何処かの街でおまえと出逢う 言葉は一つもいらないさ 何も言わなくていいさ」
このフレーズが唄われる時、この曲で一番嫉妬を感じる瞬間である。
何度も怒髪天のライブに足を運んでいる自分は「言葉は一つもいらないさ」と唄ってもらえるまだ見ぬ友ではないからである。

「一番大切なものはなんだ?」と問う増子さんに(えーー、愛?情熱?どっちだなんて言えません!!)
昨日に引き続きの問いかけにパニくりながら胸の中でつぶやく自分。
「何もかも無くなっても最後に残るのはここだろう!!」と、胸を叩く増子さん。
この空間に「生ける屍」などという言葉は無縁だ。
「情熱のストレート」。
いつのまにか視界が開けた私の目の前には清水さんがいる。
「根性 努力〜」「友情!きぼぉ〜〜!!」拳を振り上げ、清水さんと顔突き合わせて叫びあう。なんて気持ちいいんだ。楽しいんだ。

そして、この状態で迎える「美学」。
危険すぎ〜。ここからだと増子さんは振り返らないと見えない。振り返ると清水さんが見えない。ものすごい葛藤。
でも無理してでも増子さんを見る。
久しぶりに聴く、体感する美学。
私の頭の上を泳いでステージにたどり着く人々。頭も顔も蹴られて痛い。首の骨が折れそうに痛い。早く降りてくれと思う。
頭を上げられなくてステージ見えないし痛いし、やっぱりダイブは好きじゃない。
それでも次々ステージに流れ込むダイバー達。
それを増子さん自身が受け止める。男子も女子もしっかりと抱きとめる。そんなの見ちゃうといいな〜と思う、私もやれば良かったと思う(笑)。
勝手なもんだ。
ステージが見えれば、どんなに押されてもいい。最前列のパイプが腸に食い込んでも、あばら骨がミリミリいっても平気だ。
でも、自分の足だけで後ろの何十人もの情熱を支えなえればならない今日は別だ。
目の前の清水さんに迷惑をかける。マイクスタンドをつかんでこらえないと倒れそうになるからだ。
清水さん、ごめんね。
姿勢が整わないうちにメンバー退場。上原子さんと思われるブーツに左手の親指踏まれる。

アンコールで「サムライブルー」。
遠いところに増子さんが見える。全然違う方を向いてる。
でも、その体から発せられる「サムライたれ」の想いは360度同じ熱さで届いてるはず。私のところにも届いたから。

「大阪ではやったことないから。曲名は言いませんが。」と告げ、目を閉じ、自分の心と向かい合う増子さん。
「星に願いを」。
本当に久しぶりで、胸が震えた。
すべて唄い終わった後、ドラムセットに倒れこむ。
燃え尽きた、そのようにしか見えなかった。「明日のジョー」が最後、リングで真っ白になったように。
「いやだいやだ、ジョーと一緒にならないで・・・。」
私の手は、自然に増子さんに向かって伸びていた。
でも、届かなかった。この手は必要なかった。
増子さんは自分の力で立ち上がり、そこにいる全員の気持ちの塊を背負って明日へ向かうようにステージを降りた。

また、怒髪天のライブが終わってしまった。
でも、私の心と身体には、しっかりと明日への活力が満タンになった。最高級のハイオク。
どこの会場でも、怒髪天に初めて出会う人がいる。
そんな人の心や身体にも、「いいバンドに出逢えた」という嬉しさと同時にいきなり活力満タンになったらいいなぁと思う。
本当に幸せだ。
でも、よく見えなかったことでビミョ〜に欲求不満気味。
もうFandangoは限界だよ〜。大好きだけど。
そして、次こそは!次こそは!と、私の未来も開けるのである。